当記事では2005年の有馬記念および2006年のドバイシーマクラシックを制した名馬ハーツクライについて記載する。
ハーツクライは日本の競走馬・種牡馬。2004年の日本ダービー、2005年の宝塚記念とジャパンカップでそれぞれ2着に好走するなど最前線で活躍し、続く2005年の有馬記念を制してグランプリホースの栄冠を手にし、続くドバイシーマクラシックを完勝した名馬である。日本調教馬で唯一ディープインパクトに先着した競走馬としても知られている。
その他、2006年の英G1・キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスで3着に好走したことや、アルカセットに惜しくも届かずハナ差2着で敗北を喫したジャパンカップで2分22秒1という当時のタイレコードを記録するなど、印象深い現役生活を送った。
2004年1月にデビューを迎え、初陣を白星で飾ると、3戦目の若葉ステークスを制してクラシック路線に駒を進め、皐月賞に出走。その後京都新聞杯を制し重賞初制覇を飾ると、続く日本ダービーではキングカメハメハがレコードタイムで駆け抜ける中、後方から末脚を伸ばして2着入線を果たした。その後、菊花賞・ジャパンカップ・有馬記念に参戦するが、テイエムオペラオー以来の秋古馬三冠を達成したゼンノロブロイに太刀打ちできず、3歳シーズンを終える。
古馬入り後の2005年は飛躍の年となる。宝塚記念では後方から鋭い追い込みを見せてスイープトウショウからクビ差の2着。ジャパンカップでは当時のレコードタイムで駆け抜けたアルカセットとハナ差の接戦の末に2着となった。なお、いずれも前年の年度代表馬ゼンノロブロイに先着していた。
その後、同年のクラシックで無敗三冠を成し遂げた歴史的名馬ディープインパクトが出走する有馬記念に参戦。それまでの後方待機策から一変、3・4番手での追走から早めに抜け出し、ディープインパクトの追撃を抑え、悲願のG1初制覇をグランプリの舞台で成し遂げた。なお、ディープインパクトが日本国内で敗北を喫したのはこの一戦のみであり、ハーツクライはディープインパクトに唯一先着した日本調教馬として知られる所以にもなっている。
2006年シーズンの始動戦はドバイシーマクラシックとなった。レースでは同世代の名牝ウィジャボードやアレクサンダーゴールドランなどが出走していたが、今度はスタートから積極的にレースを展開し、逃げ・先行のかたちで馬群を牽引。最終直線で後続を突き放し、2着に4馬身差をつける圧勝でG1・2勝目を飾った。
その後イギリスの大レースでも好走したハーツクライだったが、帰国初戦となった同年のジャパンカップで10着に大敗。レース前からノド鳴りの症状が見られていたこともあり、レース直後に引退が発表され、2007年より種牡馬として供用されることが決定。ターフを退いた。
現役引退後は北海道安平町の社台スタリオンステーションで種牡馬入りを果たし、2010年に初年度産駒がデビュー。2011年の青葉賞でウインバリアシオンが産駒初重賞制覇を飾り、2013年の天皇賞(秋)をジャスタウェイが勝利したことで産駒初G1制覇を達成した。
以降、さまざまなスターホースを輩出。ディープインパクト、キングカメハメハが種牡馬リーディング上位に居たことでリーディングサイアーとなることは叶わなかったが、2019年にはリーディング2位、2014年、2015年、2018年、2021年、2022年にリーディング3位という繁殖成績を残している。
産駒の馬名 | 主な勝ち鞍 |
---|---|
ジャスタウェイ | 2014年ドバイデューティフリー(首G1)など |
シュヴァルグラン | 2017年ジャパンカップ(G1) |
リスグラシュー | 2019年有馬記念(G1)など |
ドウデュース | 2022年日本ダービー(G1) |
スワーヴリチャード | 2019年ジャパンカップ(G1)など |
サリオス | 2019年朝日杯フューチュリティS(G1) |
ヌーヴォレコルト | 2014年オークス(G1) |
ワンアンドオンリー | 2014年日本ダービー(G1) |
アドマイヤラクティ | 2014年コーフィールドカップ(豪G1) |
ウインバリアシオン | 2014年日経賞(G2)など |
フェイムゲーム | 2017年目黒記念(G2)など |
カレンミロティック | 2013年金鯱賞(G2)など |
スワーヴアラミス | 2022年東海ステークス(G2)など |
タイムフライヤー | 2017年ホープフルステークス(G1) |
メイショウナルト | 2014年七夕賞(G3)など |
ギュスターヴクライ | 2012年阪神大賞典(G2) |
馬名 | 主な戦績 |
---|---|
キングカメハメハ | 2004年日本ダービー(G1)など |
スズカマンボ | 2005年天皇賞(春)(G1) |
ディープインパクト | 2005年&2006年JRA賞年度代表馬 |
ゼンノロブロイ | 2004年秋古馬三冠 |
アルカセット | 2005年ジャパンカップ(G1) |
スイープトウショウ | 2004年宝塚記念(G1)など |
サンライズペガサス | 2005年大阪杯(G2)など |
デルタブルース | 2006年メルボルンカップ(豪G1)など |
ヘヴンリーロマンス | 2005年天皇賞(秋)(G1)1着 |
2020年に種牡馬を引退し、その後も同所で繋養されていた。2023年3月9日に起立不能となり、翌10日に死亡が発表された。
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