競走馬の血統評価においてブラックタイプ(=牝系図)は大きな価値を持ち、活躍馬を多数輩出する優秀な牝系は話題に挙がることも多い。当記事では、現代競馬に枝葉を伸ばす名門一族の中からPacific Princess牝系の活躍馬をピックアップして記載していく。
1993年のクラシックでナリタタイシン、ウイニングチケットとともに『BNW』を形成し、皐月賞2着、日本ダービー2着ののちに菊花賞を制覇。有馬記念でトウカイテイオーに次ぐ2着となり、同年のJRA賞年度代表馬となった。翌1994年の天皇賞(春)でG1・2勝目を挙げ、続く宝塚記念では5馬身差の圧勝。ラストランとなった天皇賞(秋)で5着に敗退するまで、中央競馬史上第二位となるデビュー15戦連続連対の記録を持っていた。
1993年の朝日杯3歳Sを制し同年の3歳王者となり、翌1994年には中央競馬史上5頭目のクラシック三冠馬となった『シャドーロールの怪物』。皐月賞では3馬身半差、日本ダービーでは5馬身差、菊花賞では7馬身差をつける圧勝劇を見せており、同年の有馬記念では数々の強豪馬を相手に3馬身差をつけてG1・5勝目を挙げ、兄・ビワハヤヒデに続きJRA賞年度代表馬となった。1997年にはJRA顕彰馬に選出されている。
ビワハヤヒデ・ナリタブライアンの弟。1997年の秋にデビューを迎え、3戦目の未勝利戦で初勝利を飾り、翌1998年のかきつばた賞(500万下)で2勝目を挙げた。続くラジオたんぱ賞ではディヴァインライト、メイショウオウドウなどを相手に重賞初制覇。初の古馬対決となった小倉記念では単勝1.7倍の1番人気に支持され3着となった。その後は脚部不安を発症し現役を引退。2005年まで種牡馬として供用されていた。
1998年のJRA賞最優秀4歳牝馬および2000年度のJRA賞最優秀5歳以上牝馬を受賞した名牝。1997年の11月にデビューを迎え無傷3連勝でOPを制すると、1998年の桜花賞と秋華賞を勝利し牝馬二冠を達成。ラストランとなった2000年のエリザベス女王杯で復活の勝利を挙げG1・3勝目を飾った。ビワハヤヒデ・ナリタブライアンとは従兄妹の関係にあたる。
2013年の日本ダービー馬。武豊騎手に5度目のダービー制覇をもたらした。同馬の父ディープインパクトの主戦騎手も武豊騎手で、史上初となる同一騎手による日本ダービー父仔制覇だった。2015年の秋に右前繋部浅屈腱炎を発症し現役を引退すると、社台SSで種牡馬となり、2021年エリザベス女王杯覇者アカイイト、2022年安田記念覇者ソングライン、2021年から2022年にかけて阪神大賞典を連覇したディープボンドなどを出している。
ファレノプシスの弟で、キズナの兄。1999年に北海道で生産されたのちにアメリカへ渡り、現地で競走生活を送った。2001年にデビューし、3戦目で初勝利。翌2002年の米G2・ピーターパンSで日本生産馬によるアメリカの重賞競走初勝利の快挙を達成した。戦った相手にはウォーエンブレム、キャンディライド、メダグリアドーロなどがいる。
二代母がパシフィカスで、ビワハヤヒデ・ナリタブライアンの甥にあたる。2012年11月にデビューを迎え、翌2013年の青葉賞で3着入線を果たした。古馬入り後の初戦でオープン入りを果たすと、続く小倉大賞典で重賞初制覇。同年の秋に京都大賞典、金鯱賞を連勝し重賞3勝を挙げた。その後も中距離重賞戦線に出走を続け、2015年のジャパンCで2着、2016年のドバイシーマクラシックで3着に好走した。
3歳時の1月にデビューを迎え、同年に3勝を挙げると、古馬入り後の初戦でオープン入り。その後は長距離路線を主戦場とし、2016年のメトロポリタンS、翌2017年にかけて札幌日経OPを連覇するなど活躍。2019年にはステイヤーズSを制し重賞初制覇を飾っている。4分の3同血の弟にセダブリランテスがいる。
2016年12月にデビューを迎え、無傷3連勝で翌2017年のラジオNIKKEI賞を制し重賞ウィナーとなった。同年のアルゼンチン共和国杯で3着、続く2018年の中山金杯で重賞2勝目を挙げた。デビュー戦勝利後に骨折で休養、3歳秋はセントライト記念から始動予定だったが挫跖のため回避、中山金杯勝利後に左橈骨遠位端骨折で休養に入るなど脚元に課題を抱えていた。4分の3同血の兄にモンドインテロがいる。
2015年11月にデビューを迎え、3歳時の3月に初勝利。同年のラジオNIKKEI賞で重賞初制覇を飾り、続くセントライト記念で2着、福島記念で2着、古馬入り後の始動戦となったAJCCでも2着。その後、休養明けの七夕賞で単勝1番人気の支持に応えて重賞2勝目を飾った。現役引退後は日本で乗馬となる予定だったが一転、種牡馬として中国へ輸出された。当初は繁殖入り予定だったが、現地で競走馬として復帰している。
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