2022年の年度代表馬イクイノックスが古馬入り後も大活躍。初の海外挑戦となったドバイシーマクラシックではノーステッキのまま前年の愛ダービー馬に3.5馬身差をつけて逃げ切り、帰国初戦の宝塚記念では最終直線で末脚を爆発させてG1連勝を飾った。
秋初戦、連覇のかかった天皇賞(秋)ではジャックドールの作ったハイペースをなんなく追走し、そのまま後続を振り切って完勝。電光掲示板に表示された勝ち時計は芝2000mの世界レコードとなる『1分55秒2』であり、場内は大きくどよめいた。
続くジャパンカップでは、同年の三冠牝馬リバティアイランドの追撃を振り切って4馬身差の圧勝。この勝利により総獲得賞金は22億1544万6100円となり、アーモンドアイの記録を超えて獲得賞金が日本馬歴代1位となった。
2022年に続いて2023年も年度代表馬に選出。父キタサンブラックも2年連続で年度代表馬に選ばれた実績を持っており、父仔で2年連続年度代表馬に選出されるのは史上初の事例となった。
2022年の阪神ジュベナイルフィリーズを制し最優秀2歳牝馬に輝いたリバティアイランドが2023年度の牝馬三冠路線を席巻。直行で挑んだ桜花賞を最後方からの直線一気で制すると、続くオークスでは中団から徐々に進出を開始すると、2着馬ハーパーに6馬身差をつける圧勝劇を見せた。オークスにおける「6馬身差」は、ジェンティルドンナの「5馬身差」を超え、グレード制導入以降における史上最大着差だった。
三冠最終戦となった秋華賞では単勝1.1倍の圧倒的支持を集め、レース本番では4コーナーから早め先頭に立ち、2着馬マスクトディーヴァの猛追を振り切って史上7頭目となる牝馬三冠を達成した。
2022年の東京大賞典で重賞初出走ながらG1ウィナーとなったウシュバテソーロ。始動戦となった川崎記念を完勝すると、ドバイワールドカップの招待を受諾し海外遠征を敢行した。新たに川田将雅騎手とのコンビで挑んだドバイワールドカップでは、最後方から海外の強豪馬を一気の末脚で差し切り、G1級競走3連勝を海外の地で飾った。
かつては世界最高賞金額を誇るレースであり、現在も世界中から強豪馬が集うドバイワールドカップ。日本馬の制覇は2011年のヴィクトワールピサ以来12年ぶり、史上2頭目の快挙であり、またヴィクトワールピサが制した際の同競走はオールウェザーでの施行だったため、ダート開催では日本馬初勝利の快挙となった。
秋にはアメリカ遠征を敢行し、BCクラシックに出走。帰国後、連覇のかかる東京大賞典に出走すると、逃げ粘るウィルソンテソーロをゴール寸前で捉え、オメガパフューム以来史上5頭目となる連覇を果たした。
デビュー2連勝後に長期休養に入り、復帰後に連勝を重ねていたレモンポップ。2023年の根岸ステークス(G3)で念願の重賞初勝利を飾った同馬は、坂井瑠星騎手との新コンビでフェブラリーステークス(G1)に出走。レースでは馬群から抜け出して先頭に立つと、追い込んできたレッドルゼルを含め後続を完封しG1馬となった。
海外遠征後、10月のマイルCS南部杯に出走。スムースに先頭を主張すると、馬なりのまま後続を寄せ付けることなく独走し、2着馬イグナイターに2秒差をつける大差圧勝を飾った。同レースにおける大差勝ちは史上初である。
続くチャンピオンズカップ(G1)では初の1800m戦、加えて大外枠からの発走という不安材料を跳ね除け、逃げ切りでG1・3勝目をマーク。ウイングアロー、トランセンド、ゴールドドリームに続いて史上4頭目となる、中央ダートG1春秋制覇の快挙を成し遂げた。
2022年の安田記念で悲願のG1初制覇を果たしたソングライン。2023年の始動戦として選んだ1351ターフスプリントで連覇を狙うも大敗。帰国初戦となったヴィクトリアマイル(G1)では、新たに戸崎圭太騎手を鞍上に迎えて前年5着のリベンジに挑んだ。
レース本番では連覇を狙うソダシが最終直線で抜け出したが、インからわずかにかわして2度目のG1制覇を達成。続く安田記念ではジャックドール・セリフォス・シュネルマイスターなど強豪馬が揃う中、ヴィクトリアマイルとは打って変わって外目から差し脚を伸ばし、シュネルマイスターの追撃を封じてG1連勝。2023年の最優秀マイラーに輝いた。
安田記念の連覇はスウヰイスー(1952年・1953年)、ヤマニンゼファー(1992年・1993年)、ウオッカ(2008年・2009年)以来、史上4頭目の快挙。またヴィクトリアマイルと安田記念の連勝はウオッカ以来史上2頭目の快挙となった。
平地の未勝利戦で勝ち星を挙げられず障害路線に転向したマイネルグロン。2023年に本格化を迎えると、3月、4月に障害オープン戦を連勝。秋初戦となった東京ハイジャンプ(JG2)では8番人気の伏兵評価を覆し、重賞路線で活躍するホッコーメヴィウスを捉えて重賞初制覇を飾った。
暮れの大一番、中山大障害(JG1)では単勝2.0倍の支持を受けた。レース本番、道中3番手で運んだマイネルグロンは3コーナー手前から手応えよく先頭に立ち、直線ではさらに後続を突き放して10馬身差の圧勝。2着馬は前年の中山大障害覇者ニシノデイジーだった。
2023年の成績は4戦4勝。年間無敗のまま重賞連勝でJG1制覇を達成し、JRA賞最優秀障害馬に輝いた。
松山弘平騎手とのコンビで弥生賞(G2)を制し、重賞初制覇を飾ったタスティエーラ。皐月賞(G1)では完全に抜け出したものの、ソールオリエンスの猛烈な追い込みに屈して2着に敗れた後、松山騎手はハーツコンチェルトに騎乗するため、新たに鞍上にD.レーン騎手を迎えて日本ダービーに出走した。
単勝4番人気に支持されたレース本番では、好位から早めに勝負を仕掛け、ソールオリエンス・ハーツコンチェルト・ベラジオオペラとほぼ横並びでゴール板へ飛び込んだ。入線の直前、わずかにクビ差先着しており、ソールオリエンスへのリベンジを果たす形で日本ダービー馬の栄光を手にした。
クラシックでの活躍を期待されながらも無冠に終わった父サトノクラウンに日本ダービーの栄冠をプレゼントした。また、乗り替わりでの日本ダービー制覇は1954年のゴールデンウエーブ以来69年ぶりとなる快挙だった。
その後の菊花賞では、関東から関西への初遠征、鞍上は初騎乗となるJ.モレイラ騎手、直行ローテという条件ながら2着に好走。皐月賞・菊花賞で2着、日本ダービー1着の『3歳クラシック三冠全連対』という好成績を残し、JRA賞最優秀3歳牡馬に輝いた。
父クロフネ、母ブチコ。全姉にはG1を3勝した「白毛のアイドル」ソダシがいる良血馬ママコチャ。2022年の夏から秋にかけて3連勝でオープン入りを果たした同馬が重賞戦線に再び挑んだ。
5月の安土城ステークスでは重賞馬ビーアストニッシドに3馬身差をつける完勝でオープン特別初勝利を挙げ、続く北九州記念では2着。G1初挑戦となったスプリンターズステークスでは2番人気に支持を受けた。
レース本番では3番手から抜け出すと、インコースを伸びてきたマッドクールと激しい叩き合いに。ゴール前で接戦をハナ差で制し、G1初制覇。2023年の最優秀スプリンターに輝いた。
なお全姉ソダシ、母ブチコ、祖母シラユキヒメは白毛馬だが、当馬は鹿毛である。
牝馬2歳路線では、デビュー2連勝で新潟2歳ステークス(G3)を制したアスコリピチェーノが阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)を勝利。牡馬2歳路線では無傷の連勝でデイリー杯2歳ステークス(G2)を制したジャンタルマンタルが朝日杯フューチュリティステークス(G1)を制した。
アスコリピチェーノはJRA最優秀2歳牝馬、ジャンタルマンタルはJRA最優秀2歳牡馬を受賞。2024年度の活躍が期待される。
JRA賞とは、主に中央競馬における活躍を称えるために行われている、日本中央競馬会(JRA)の年間表彰である。
JRAでは昭和62年より、競馬に関する優れた業績に対する栄誉をたたえ、感謝の意を示すために「JRA賞」が設けられている。
また同時に、年間表彰をおこなうことで競馬ファンやマスコミ、競馬関係者はもとより、一般社会へもその存在を広くアピールし、競馬の市民性およびステータスの向上、馬事の普及を図ることも大きな目的とされている。
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