当記事では2015年のクラシック二冠を達成し、父としても優秀な産駒を送り出した名馬ドゥラメンテについて記載する。
ドゥラメンテは日本の元競走馬・元種牡馬。2015年の皐月賞・日本ダービーを制し、同年のJRA賞最優秀3歳牡馬に輝いた名馬である。生涯成績は9戦5勝。出走機会すべてで連対を果たしている。現役時代の主戦はミルコ・デムーロ騎手が務めた。引退後は種牡馬となり、父としてタイトルホルダーやスターズオンアースなどを輩出。2021年8月、急性大腸炎のため9歳でこの世を去った。
父は2004年の日本ダービー馬キングカメハメハ。母は2003年から2004年にかけてエリザベス女王杯を連覇した名牝アドマイヤグルーヴという血統。なお、アドマイヤグルーヴはドゥラメンテ出産後、同年10月に死亡しており、当馬がラストクロップである。
二代母は1997年の年度代表馬エアグルーヴで、近親にはルーラーシップ、フォゲッタブル、グルヴェイグ、オレハマッテルゼ、ジュンライトボルト、アンドヴァラナウト、フラムドパシオンなど数々の名馬が並ぶ。
2014年10月にデビューを果たしたドゥラメンテは、ゲート内で立ち上がるなどの気性の荒さを見せつつも未勝利戦を圧勝するなど順調に勝ち上がり、2015年の共同通信杯で2着となったのちにクラシック第一冠・皐月賞へと駒を進めた。
皐月賞では、サトノクラウン、リアルスティールに次ぐ単勝3番人気の評価だった。レース本番では終始後方からの追走となり、最終コーナーではインコースから外馬場まで大きく膨らみ斜行。しかし最終直線では豪脚を繰り出し、逃げ粘るキタサンブラック、キタサンブラックを捉えて抜け出したリアルスティールを一気に飲み込んで先頭に躍り出て1馬身半差でG1初制覇を飾った。
インパクトの大きいこのレース内容はメディアにも取り上げられた。繰り出した末脚が「ワープ」と形容されるなど注目を集め、ドゥラメンテは一気にスターホースとなった。
皐月賞制覇後、日本ダービーに出走した。同レースにはキタサンブラック、リアルスティール、サトノクラウンなど後にG1を制する名馬に加え、サトノラーゼン、ミュゼスルタン、タンタアレグリア、ミュゼエイリアン、グァンチャーレ、ミュゼエイリアンなどの重賞馬が揃い踏みの豪華なメンバーが集結。そのなか、ドゥラメンテは単勝1.9倍の圧倒的な支持を受けた。
レース本番、8番手から追走したドゥラメンテは最終直線で抜け出し、後続の追走を完封。オルフェーヴル以来のクラシック二冠制覇を成し遂げた。勝ち時計2分23秒2は当時のダービーレコード。父キングカメハメハの出したタイムを更新しての父仔制覇となった。
日本ダービー制覇後、秋に向けて調整を進められていたドゥラメンテだったが、放牧先で両橈骨遠位端骨折が判明。秋シーズン全休を余儀なくされた。
手術は成功し、2016年2月の中山記念で9ヶ月ぶりに復帰を迎えたドゥラメンテは、単勝2.1倍の1番人気に支持され、早めからの仕掛けでアンビシャスの追撃をクビ差封じて勝利を飾った。
その後、ドゥラメンテはドバイシーマクラシック出走のため海外遠征を敢行。イギリスの強豪馬ポストポンドに次ぐ2着で入線を果たした。なお同レースにおいて、馬場入場後に右前脚の蹄鉄が外れるというトラブルが起こっており、打ち直しがうまくいかないままレース本番を迎えていた。
帰国後、ドゥラメンテは6月の宝塚記念に出走。単勝1.9倍の圧倒的な1番人気に支持された。レース本番、直線で外馬場から進出を開始するも、先に抜け出したマリアライトをクビ差捉えきれず2着となった。
また宝塚記念のゴール後、歩様が乱れたため鞍上のミルコ・デムーロ騎手が下馬。命に別状は無かったものの、左前脚跛行の診断が下され、今後のローテーションについても白紙となった。そして6月29日、競走能力喪失の診断が下されたため、ドゥラメンテはターフを去ることとなった。
引退後は種牡馬となり、社台スタリオンステーションで供用されることとなった。以降、2021年の菊花賞などG1・3勝を挙げているタイトルホルダー、2022年の牝馬二冠馬スターズオンアース、2022年の阪神ジュベナイルフィリーズを完勝したリバティアイランドなど、数々の強豪馬を送り出した。
2021年8月31日、急性大腸炎のため9歳で死亡した。社台スタリオンステーション・徳武英介氏のコメントは下記の通り。
「1週間ほど前から右前肢の蹄冠部外傷の治療をしており、良化途中でしたが、前日30日より腸炎の兆候があり、その後急激に悪化してしまいました。今年の種付けシーズンも元気に過ごしていただけに信じられないでいます。
日本屈指の名牝系出身で日本のチャンピオンサイアー5頭を重ねた名馬の早逝だけに、関係者の皆様、ファンの皆様には大変申し訳なく思っております。
種牡馬としても頂点を期待されていましたので、残された産駒たちの応援を引き続きお願いいたします。ドゥラメンテの功績に感謝しつつ、心よりご冥福をお祈りいたします」
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