ダイタクヘリオスは日本の元競走馬。類稀なる快速を武器に史上2頭目のマイルCS連覇を含む重賞7勝を挙げ、日本競馬史上4頭目の6億円ホースとなったスピードスターである。
またハイペースで先陣を切り口を割って走る様子から『笑いながら走る馬』と称され、現役晩年には芝1200mのスプリンターズSから有馬記念へ連闘でG1参戦を果たすなどの圧倒的なタフネスから、現役を退いて30年が経とうとしている2023年現在でも競馬ファンから人気を集める名馬だ。
当記事では、ファンに愛された名マイラー・ダイタクヘリオスの競走成績を時系列順に振り返っていく。
ダイタクヘリオスは1987年4月10日、北海道平取町の清水牧場で生まれた。父ビゼンニシキ、母ネヴアーイチバン、母の父ネヴァービートという血統。父は『皇帝』シンボリルドルフの同期であり、デビューから無傷4連勝で1984年の共同通信杯4歳Sを制覇、スプリングSとNHK杯を勝利、弥生賞と皐月賞ではシンボリルドルフの2着に入線するなど活躍した名馬。ダイタクヘリオスはその代表産駒である。
1989年10月7日に京都競馬場で行われた3歳新馬戦でデビューし3着。当時は同開催内であれば「折り返しの新馬戦」に出走が可能だったため、中1週で再び新馬戦に挑み2着。さらに連闘で新馬戦に出走し、3戦目で初勝利を飾った。
10月中に3戦を消化したダイタクヘリオスは、そこからさらに中1週でデイリー杯3歳S(G2)に参戦し4着となった。1ヶ月後のさざんか賞(400万下)で2勝目を飾ると、連闘で阪神3歳S(G1)に出走すると、序盤から果敢に先手を主張し、勝ち馬コガネタイフウからアタマ差の2着に好走した。
G1初出走から1ヶ月後、シンザン記念(G3)に出走し2着。その後きさらぎ賞(G3)、スプリングS(G2)へ参戦するがそれぞれ着外に敗れ、陣営はクラシック出走を断念。その後は短距離路線に切り替え、4月に行われたクリスタルC(G3)で重賞初制覇を飾った。1ヶ月後に出走した葵Sでは出走馬中最も重い斤量59kgを背負い2着入線、その後1着入線馬アンビシャスホープの失格により繰り上がり1着が認められ連勝を果たした。続く6月のNZT4歳S(G2)で2着となり、初めての長期休養に入った。
同年11月に復帰を果たし、マイルCS(G1)、シリウスS(当時はOP)、スプリンターズS(G1)に出走し、シーズンを終えた。
古馬入り後初戦の淀短距離Sで4着となり、中2週でマイラーズC(G2)に出走。馬場のインコースから抜け出し、ぐんぐんと差を広げてコースレコードを計時、5馬身差の圧勝で重賞2勝目を飾った。同年3月のダービー卿CT(G3)で4着となり、続いて4月の京王杯スプリングC(G2)に参戦。このときの勝ち馬が、後にダイタクヘリオスと幾度も大レースでマッチアップする名牝ダイイチルビーである。
続く安田記念(G1)では単勝10番人気の伏兵評価ながら先行集団から抜け出しを図るも、後方13番手から上がり最速の末脚で追い込んだダイイチルビーに屈し2着。6月のCBC賞(G2)出走後、7月の高松宮杯(G2)で再びダイイチルビーと対決。ハイペースの中をダイタクヘリオスが抜け出し、3番手から差を詰めにかかったダイイチルビーがハナ差で入線。わずかにダイタクヘリオスが先着しており、安田記念のリベンジを果たすかたちで3つ目の重賞タイトルを手にした。
秋の始動戦となった毎日王冠(G2)で2着、続くスワンS(G2)で9着となり、11月のマイルCSに出走。ここでは春秋マイルG1制覇を狙うダイイチルビーに加え、同年4月のデビューから類稀なる快速でスワンSを含む3度のレコードを計時していたケイエスミラクルが出走。単勝3番人気はバンブーメモリーで、ダイタクヘリオスは単勝4番人気に支持されていた。レース本番では序盤から果敢に先手を主張し、前年の宝塚記念覇者オサイチジョージなど強豪馬を振り落とすと、後方から猛追するダイイチルビー、ケイエスミラクルを2馬身半差振り切るかたちでG1初制覇を飾った。
これまで短距離路線を主に歩んできたダイタクヘリオスだったが、次走に選んだのは有馬記念(G1)。レースでは2、3番手から果敢な粘り込みを見せ、伏兵評価ながら5番手で入線を果たした。
旧6歳シーズン初戦となったマイラーズCでは、ダイイチルビーが人気を集める中、4番手から早仕掛けで先頭へ躍り出ると、2着馬に5馬身差をつける圧勝で連覇を飾った。その後、京王杯スプリングCで4着、安田記念では単勝1番人気に支持されるもヤマニンゼファーの6着に敗れ、続いて挑んだ宝塚記念ではメジロパーマーとともに馬群を牽引し6着となった。
秋の始動戦となった毎日王冠では、前年の有馬記念3着馬ナイスネイチャ、オールカマー(G3)2着馬サクラヤマトオー、重賞4勝馬イクノディクタスなど強豪馬が揃う中、59kgの斤量を背負いながらレコードタイムで勝利を飾った。続く天皇賞(秋)ではメジロパーマーとの苛烈な逃げ争いの末に失速して8着となった。
続いて連覇がかかるマイルCSに出走。同レースには4連勝中のシンコウラブリイ、安田記念覇者ヤマニンゼファーのほか、ナイスネイチャ、イクノディクタス、ムービースターなどが揃ったが、ダイタクヘリオスは逃げるイクノディクタスをレース中盤で競り落とし、直線でも先頭をキープしたままシンコウラブリイの追撃を封じて連覇を達成した。記録した1分33秒3は、1990年のパッシングショットのレースレコードや1977年に記録されたコースレコードを上回るレコードタイムだった。
続いて12月のスプリンターズSに出走し4着。当初はこれが引退レースとなる予定だったが、オーナーの意向により急遽連闘で有馬記念に参戦。メジロパーマーとともにレースを牽引し12着となり、ターフを退いた。
1993年より北海道で種牡馬となったダイタクヘリオスは、初年度から60頭の繁殖牝馬を集めた。産駒の1頭であるダイタクヤマトは2000年のスプリンターズSを16頭立ての16番人気を覆し逃げ切り勝ちをおさめ、日本競馬史上に残る大波乱を演出。同年のJRA賞最優秀父内国産馬およびJRA賞最優秀短距離馬に輝いた。
ダイタクヘリオスは2003年から青森県に移動し、2008年に種牡馬を引退。功労馬となった直後の同年12月12日に死亡。21歳だった。
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