当記事では、過去に東京競馬場で開催されたG1・ヴィクトリアマイルから名レースをピックアップして掲載する。
2006年に新設されて以来、春の古馬牝馬マイル女王決定戦としての立ち位置を確立したヴィクトリアマイル。今回は、同レースにおける名勝負を写真付きで振り返る。
2006年に阪神ジュベナイルFを制しJRA賞最優秀2歳牝馬の座に輝き、翌2007年には牝馬として日本ダービーを制する快挙を成し遂げた稀代の名牝・ウオッカ。ドバイ遠征からの帰国初戦ながら、観衆の注目は彼女に注がれる。そこに待ったをかけたのが、デビュー時ダート短距離で勝ち上がり、その後芝の短距離へ転向、初めてのマイル戦となるエイジアンウインズだった。
レースでは同世代のNHKマイルカップ覇者ピンクカメオがスローペースで逃げ、最終コーナーで徐々に後続が殺到。エイジアンウインズは7番手から追走を開始し、ニシノマナムスメ・ベッラレイアの間を割って抜け出す。後のマイルチャンピオンシップ覇者ブルーメンブラットが先に抜け出しており、後方からウオッカが猛追するなか、ゴール前で差し切り初G1制覇を達成した。
前年エイジアンウインズの後塵を拝したウオッカだったが、その後安田記念と天皇賞(秋)を制し、前年と同じくドバイ遠征ののちにヴィクトリアマイルに参戦。エイジアンウインズはG1戴冠以来長期休養で戦線離脱しており、ウオッカは単勝1.7倍の圧倒的な支持を受ける。2番手評価を受けたのは1世代上の二冠牝馬カワカミプリンセスだった。
レースの道中、ウオッカは余裕たっぷりの手応えで5-4番手を追走し、最終直線で逃げ粘るショウナンラノビアを早々に捉えると、まったく追うことなく後続との差を開いていき、あとは一人舞台。2着ブラボーデイジーに7馬身差をつける圧巻の勝利で前年の雪辱を果たしたのだった。
2008年に阪神ジュベナイルFを制し、翌2009年の桜花賞とオークスを勝利。秋華賞では3着降着となったものの、同年暮れの有馬記念で2着に好走し、すでにスターホースとしての地位を固めつつあったブエナビスタ。古馬入り後に挑んだドバイシーマクラシックで名牝ダーレミの2着となったのち、帰国初戦に選んだのがヴィクトリアマイルだった。
レース本番では後方13番手をゆったり追走。直線までじっくりと脚を溜め、コース外へ進路を取ると末脚一閃。先に抜け出したヒカルアマランサスをゴール前で捉えて戴冠し、世代トップクラスの実力を示した。
前年圧巻のパフォーマンスを見せ、その後数々の大レースを制して年度代表馬に輝いたブエナビスタ。そこに待ったをかけたのが、1つ下の世代の三冠牝馬アパパネだった。2009年に2歳女王に輝き、2010年に史上3頭目の牝馬三冠を達成。エリザベス女王杯では欧州からの刺客スノーフェアリーの末脚に敗れ、古馬始動戦のマイラーズカップでは4着となっていた。
レースでは圧倒的支持を受けたブエナビスタが、前年の再現を目論むように後方13番手に構える。アパパネはブエナビスタよりも少し前に位置を取った。4コーナーに入りブエナビスタが進出を開始する瞬間、アパパネもロングスパートを開始。前で粘るレディアルバローザを捉え、猛然と差を詰めるブエナビスタをわずかに振り切って5度目のG1制覇を達成。勝ち時計1分31秒9はレースレコードだった。
2012年に牝馬三冠を達成した名牝ジェンティルドンナ。その三冠すべてで2着となったのが「大魔神」佐々木主浩氏の愛馬ヴィルシーナだった。桜花賞・オークス・秋華賞ののちに挑んだエリザベス女王杯では単勝1.9倍の支持を受けたもののレインボーダリアの末脚に屈して再度の2着。古馬始動戦の大阪杯で6着となったのち、挑んだのがヴィクトリアマイルだった。
レースでは2番手を追走し、直線ではじりじりと進出。マイネイサベルとの激しい追い比べとなった。そこに前年のヴィクトリアマイル覇者ホエールキャプチャが襲いかかり、最後はクビの上げ下げで決着した。
くしくも、2012年にホエールキャプチャがヴィクトリアマイルを制した際の2着馬はジェンティルドンナの全姉ドナウブルー。さまざまな因果の末、ヴィルシーナは「執念のハナ差」での戴冠を果たしたのだった。
2011年のデビュー時馬体重は428kgと小柄だったが、徐々に馬体重を増やしていき、2013年に本格化。馬体重も460kgを超え、長い下積みを経て開花した晩成の快速馬ストレイトガールは、2014年の高松宮記念・ヴィクトリアマイルで3着、スプリンターズSで2着、香港スプリントで3着となり、6歳となった2015年のヴィクトリアマイルで初G1制覇を達成。その後、同年のスプリンターズSを制した遅咲きの名牝は、7歳時に連覇へ挑んだ。
二冠牝馬ミッキークイーン、秋華賞馬ショウナンパンドラ、末脚光るスマートレイアーなど強豪の揃った一戦。外枠から中団を追走したストレイトガールは、最終直線で広がった馬群のインコースへ潜り込み末脚を爆発させ、追い縋る他馬を振り切って圧巻の連覇を達成した。
2歳時にデビュー2連勝を果たしながら骨折により戦線離脱、復帰戦となったフラワーカップで3着となり桜花賞への出走が叶わず、続くフローラステークスでも3着となりオークスも出走ができなかったノームコア。紫苑ステークスを3馬身差で快勝し重賞初制覇を飾り牝馬三冠最終戦への優先出走権を得るも疲労により秋華賞を回避するなど、決して順風満帆とはいえなかった同馬が悲願のG1制覇を果たしたのが同レースである。
レースではNHKマイルカップ覇者アエロリットが前半1000m56秒1のハイペースで逃げ、緩みのないラップを構築する。中団を追走したノームコアは馬場の真ん中を狙って一気に末脚を爆発させると、後方から猛追するプリモシーンを振り切ってゴール板に飛び込んだ。勝ち時計の1分30秒5はレースレコードだけでなく、芝1600mにおける世界レコードだった。
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