アグネスタキオンの軌跡 わずか4戦で歴史に名を刻んだ超光速の伝説/名馬列伝

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 わずか4戦のキャリアながら、その圧倒的な走りで競馬ファンを魅了した名馬・アグネスタキオン。当記事では、幻の三冠馬と評された「超光速の天才」アグネスタキオンの軌跡を振り返る。

2001年皐月賞制覇時のアグネスタキオン(撮影:下野雄規)
2001年皐月賞制覇時のアグネスタキオン(撮影:下野雄規)
  1. アグネスタキオンとは
  2. デビュー戦
  3. ラジオたんぱ杯3歳S
  4. 弥生賞
  5. 皐月賞
  6. 現役時代のライバル馬
  7. 種牡馬として
  8. 関連情報
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【概要】アグネスタキオンとは

 アグネスタキオン父サンデーサイレンス、母は1990年の桜花賞アグネスフローラ、母の父ロイヤルスキーという血統。二代母は1979年のオークスアグネスレディー、1歳上の全兄には2000年の日本ダービーアグネスフライトがいる良血馬である。「タキオン」は「超光速の粒子」であり、まさに名は体を表す圧巻のパフォーマンスを見せてターフを駆け抜けていった。

 2000年12月にデビュー戦を迎え、4戦4勝で皐月賞馬となったが、左前浅屈腱炎を発症して現役引退。その後、種牡馬としてダイワスカーレットディープスカイキャプテントゥーレなど活躍馬を輩出し、内国産種牡馬として57年ぶりとなるJRAリーディングサイアーに輝くなど、多大な功績を残した名馬である。

デビュー戦

 アグネスタキオンがデビュー戦を迎えたのは2000年の12月2日。阪神競馬場で行われた芝2000mの3歳(旧表記)新馬戦だった。同レースには半兄に日本ダービーフサイチコンコルドがいる良血馬ボーンキング、南関東の名牝ロジータの仔リブロードキャスト、のちに富士ステークスを制するメイショウラムセスが出走しており、アグネスタキオンは単勝3番人気に支持された。レースでは上がり33.8秒の末脚を繰り出して他馬を圧倒し、後続に3馬身半差をつける快勝。新馬戦を白星で飾った。

ラジオたんぱ杯3歳S

 デビュー戦から中2週で、G3・ラジオたんぱ杯3歳S(現ホープフルS)に出走。後の日本ダービージャングルポケット、芝でG1制覇後ジャパンカップダートで歴史的な圧勝を見せるクロフネが出走していた。レース直前、クロフネが単勝1.4倍の圧倒的な1番人気。アグネスタキオンが単勝4.5倍、ジャングルポケットが単勝4.8倍と続いていた。

 レース本番では、スローペースで進むなか早めに仕掛け、クロフネとともに先団へ。さらに後方からジャングルポケットが猛追するかたちでゴール版を駆け抜け、アグネスタキオンは2分00秒8という2歳レコードタイムで圧勝を飾った。なお2着馬ジャングルポケット、3着馬クロフネまでが当時の2歳レコードタイムを更新しており、クロフネと4着馬エーピーウィザードの間は5馬身差が広がっていた。

弥生賞

 クラシックシーズンを迎えたアグネスタキオンは年明けの初戦として弥生賞に駒を進めた。ここではデビュー時に対戦したボーンキングのほか、後に菊花賞有馬記念天皇賞(春)を制する名ステイヤー・マンハッタンカフェが出走。アグネスタキオンは単勝1.2倍の圧倒的な支持を受け、これに呼応するかのように快走し、手前を替えることもなく手応え十分で2着馬ボーンキングに5馬身差をつけた。

皐月賞

 牡馬クラシック路線の大本命として迎えた皐月賞で、アグネスタキオンは単勝1.3倍、単勝支持率59.4%という圧倒的な人気を集めた。単勝2番人気はジャングルポケット、単勝3番人気はダンツフレームが続いた。なお、皐月賞に外国産馬の参戦が可能となったのは2002年からであり、アメリカで生を受けたクロフネNHKマイルカップへ向かった。

 レース序盤は5番手で追走、コーナーを通過するごとに徐々に位置取りを上げ、最終コーナーで先頭に立ったシャワーパーティーを一瞬で置き去りにし、後方から猛追するダンツフレームジャングルポケットを悠々と振り切って押し切り、4戦全勝、無敗のクラシック制覇を成し遂げたのだった。

 この圧巻のパフォーマンスから「三冠は確実」と各方面で評されたが、同年5月に左前浅屈腱炎を発症したことで日本ダービーの回避を余儀なくされる。その後、関係者の協議のもと同年8月に現役引退が報じられ、アグネスタキオンはわずか4戦でターフを退くこととなった。

現役時代のライバル馬

 アグネスタキオンが4戦のキャリアのなかで下したジャングルポケットクロフネマンハッタンカフェが3歳時に秋の古馬混合G1を3勝(ジャパンカップジャパンカップダート、有馬記念)し、また翌年にマンハッタンカフェダンツフレームが上半期の古馬G1を勝利している。こうした背景が「仮にアグネスタキオンが故障せずに現役を続行していれば」と語られる所以となっている。

種牡馬として

 引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬となり、2005年にデビューを迎えた初年度産駒が次々と勝ち星を挙げ、サンデーサイレンス後継種牡馬の1頭としての地盤を築いた。2008年にはキャプテントゥーレディープスカイリトルアマポーラダイワスカーレットなどの活躍もあり、内国産種牡馬として1957年のクモハタ以来51年ぶりとなるリーディングサイアーに輝いている。

 その後、アグネスタキオンは2009年6月に急性心不全のためこの世を去った。

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