7/13(月)14(火)の2日間にわたって開催される、セレクトセール2020。馬産地で上場予定馬の下見を重ねている須田鷹雄さんが、「これを知ればもっと面白くなる!」注目馬を1歳馬セッション、当歳馬セッションに分けてセールに登場する注目馬を挙げていきます。第二のデアリングタクトはどの馬か!?
セレクトセール上場馬の展示風景
ディープ、キンカメ産駒がいない当歳セールの行方は?
大きなテーマのふたつめは、もちろんディープインパクト・キングカメハメハの上場産駒が一定の頭数いる最後のセールということだ。ディープインパクトは来年の1歳セッションに出る可能性はあるが、ごく少数か、あるいは今回が最後になるかだ。
前述した予想を覆して超高額の落札があるとしたらディープインパクト産駒のほう。そもそもリザーブ価格も違う。キングカメハメハのほうはそこまで高くないリザーブの馬もいるようなので、「記念受験」のようにビッドしてみるのも面白いかもしれない。
1歳セッションはディープインパクトとキングカメハメハがいる、当歳セッションはいないという構成になるが、その差はどういう結果を生むだろうか。もともとキングカメハメハの高額馬やディープインパクト産駒を競ることができるのは限られた大プレイヤーだけだが、当歳セッションではその大プレイヤーの予算が他種牡馬に転進してくる。そう考えると「ディープ・キンカメ以外」を買うなら1歳セッションのほうという理屈になるが……なかなか理屈通りにいかないのがセリというものでもある。
ともあれ今年の当歳セッションから「ディープ・キンカメのいないセレクトセール」を実感しなければならないのだが、ではその次の決定打は何なのかということは見えておらず、今後は多様性のある、選択肢の豊富なセールという色彩が強まりそうだ。
当歳セッションはディープインパクト産駒もキングカメハメハ産駒も居ないので意外なところから最高価格が出てくる可能性もあるが、ロードカナロア産駒の人気が一段落していることを考えると、芝で距離がもつタイプで実績もあるハーツクライが主役を務めそうだ。リザーブ価格からもそう予想するのが自然。
ノーザンファームはシーヴの2020(父ハーツクライ)が半兄とともにそれぞれのセッション最高価格を獲得するかもしれないが、個人的にはヒルダズパッションの2020(父ハーツクライ)と予想する。芝ダート双方のGIを制したYoshidaの全弟というだけでなく、しっかりした筋肉と全身を使いつつ軽さのある歩きが魅力的だ。日高からはダイワパッションの2020(父ハーツクライ)。エポカドーロの半弟だ。エポカドーロはセレクトセール3672万円。2歳のドゥラメンテ牡馬は7776万円(2018年当歳セッション)だったが、そのあたりまで伸びても不思議ではない。
個人的に気になっているリーズナブルに買えそうな馬
高馬の話ばかりしてもリアリティがないので(どのみち自分が買うという話ではないが)、リーズナブルに買えそうな馬というところで、個人的に気になっている馬を何頭かご紹介しよう。
ノーザンファームについてはロードカナロア以外の短距離血統、あるいはダートの方向に逃げれば少しでも競合を避けられるのではないかと考える。当歳セッションでは前回期待していると書いたサトノアラジン産駒からヴィリエルバクルの2020(牝)を挙げておく。
社台ファーム勢の当歳セッションではゴルトキルシェの2020(牝/父マインドユアビスケッツ)、レニーズゴットジップの2020(牡/父イスラボニータ)が面白そうだ。
下見にうかがったのが社台ファームとノーザンファームだけなので、その他のマニアックな注目馬としては、ごく私的な理由によるものしか挙げられないがご容赦いただきたい。
当歳ではバロネスサッチャーの2020(牝/父サトノダイヤモンド)。母は現1歳世代の産駒を産むまではノーザンファームにいたのだが、肢勢に難のある産駒などもいた中で中央デビューした4頭はすべて勝ち上がり、地方デビューのナイトバロンは平和賞勝ち。ノーザン時代から個人的にいつか大物を出す母ではと期待していたので、この当歳馬も勝手に応援している。
セレクトセール2020
苫小牧・ノーザンホースパークで行われる日本最大のサラブレッド市場「セレクトセール2020」(2020年7月13日(月)1歳馬、7月14日(火)当歳馬)を生中継いたします