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【日本ダービーまとめ】世代の頂点に挑戦した牝馬たち

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1932年にワカタカが制した第1回日本ダービー(東京優駿)が行われてから2021年までダービーに出走した牝馬はここまで130頭、その中で優勝した牝馬は3頭と少なく、いずれも歴史に名を残す名牝である。オークスは創設当初秋開催だったために春はダービー、秋はオークス、というような馬も多かったが、1953年にオークスがダービーの前週に移動してから出走した馬は18頭となっている。ここでは過去ダービーを制した牝馬、オークスが春開催に移動してから出走した1953年以降の牝馬を中心にまとめてみた。

2007年日本ダービーをウオッカで制しご来場されていた皇太子殿下ご夫妻に一礼する四位騎手(撮影:下野雄規)

2007年日本ダービーをウオッカで制しご来場されていた皇太子殿下ご夫妻に一礼する四位騎手(撮影:下野雄規)

日本ダービーを制した牝馬

ヒサトモ(繁殖名:久友)

馬名ヒサトモ(繁殖名:久友)
トウルヌソル
星友
母父Sir Martin
生年月日1934年04月23日
主な勝ち鞍1937'東京優駿
1938'帝室御賞典・秋

1937年東京優駿勝ち馬。2着に入ったサンダーランドも牝馬で過去唯一の牝馬によるワンツーフィニッシュとなっている。半兄は種牡馬として活躍した月友。古馬になってからは帝室御賞典・秋(今の天皇賞・秋)を制している。ヒサトモの末裔にはトウカイテイオー、トウカイローマン、トウカイオーザなどの名前がある。


クリフジ(繁殖名:年藤)

馬名クリフジ(繁殖名:年藤)
トウルヌソル
賢藤
母父チヤペルブラムプトン
生年月日1940年03月12日
主な勝ち鞍1943'東京優駿
1943'阪神優駿牝馬
1943'京都農商省賞典四歳呼馬など

1943年東京優駿勝ち馬。戦歴は11戦11勝、阪神優駿牝馬(オークス)、京都農林省賞典四歳呼馬(菊花賞)も制しており、牝馬として唯一のクラシック競走3勝馬である。故野平祐二氏のように日本競馬史上最強馬としてクリフジの名を挙げるオールドファンも多かったという。クリフジの産駒にはオークス二代制覇となったヤマイチなどがおり、末裔にはサムソンビッグ、オオエライジン、エンジェルツイートなどの名前がある。

ウオッカ

ウオッカ
馬名ウオッカ
タニノギムレット
タニノシスター
母父ルション
馬主谷水 雄三
生産者カントリー牧場
生年月日2004年04月04日
産地静内町
主な勝ち鞍2006'阪神ジュベナイルフィリーズ
2007'日本ダービー
2008'安田記念
2008'天皇賞(秋)
2009'ヴィクトリアマイル
2009'安田記念
2009'ジャパンC

2007年、牝馬として64年ぶりに日本ダービーを制した名牝。GI・7勝中6勝を東京競馬場で挙げる、東京競馬場で行われる古馬GIをすべて制するなど東京競馬場では無類の強さを誇り「府中の申し子」とも呼ばれていた。現在東京競馬場内ローズヒルガーデンには銅像が設置されている。

1980年以降に挑戦した牝馬

マーブルトウショウ

馬名マーブルトウショウ
ダンデイルート
チヤイナトウシヨウ
母父チヤイナロツク
馬主トウショウ産業株式会社
生年月日1978年04月27日
生産者藤正牧場
産地静内町
主な戦歴1980'阪神3歳S・3着
1981'桜花賞・3着など

栗東の戸山為夫厩舎所属、戦歴は16戦4勝、主戦は小谷内秀夫騎手。クローバー賞、すずらん賞、紅梅賞などの勝利がある。ソシアルバターフライを祖としない牝系としてトウショウ牧場を支えてきた。マーブルトウショウの曾孫にはトウショウ牧場最後のGIホース、スイープトウショウがいる。

シャダイソフィア

シャダイソフィア
馬名シャダイソフィア
ノーザンテースト
ルーラースミストレス
母父Bold Ruler
馬主吉田善哉
生年月日1980年03月19日
生産者社台ファーム
産地早来町
主な勝ち鞍1983'桜花賞
1985'阪急杯など

栗東の渡辺栄厩舎所属、戦歴は24戦6勝、主戦は猿橋重利騎手。渡辺栄調教師は後にジャングルポケットで日本ダービーを制覇するが、シャダイソフィアでの桜花賞制覇が最初の八大競走制覇となる。社台ファームの同世代牝馬にはダイナカール(社台レースホース所有)がおり、ダイナカールはシャダイソフィア不在のオークスを制覇した。同じ社台ファーム生産のギャロップダイナ(社台レースホース所有)がシンボリルドルフを差し切り大金星を挙げた天皇賞・秋後に発走となったスワンSで競走中止、第1指関節開放脱臼で予後不良の措置がとられた。

ビワハイジ

ビワハイジ
馬名ビワハイジ
Caerleon
アグサン
母父Lord Gayle
馬主ビワ
生産者早田牧場新冠支場
生年月日1993年03月07日
産地新冠町
主な勝ち鞍1995'阪神3歳牝馬S
1995'札幌3歳S
1998'京都牝馬特別

栗東の浜田光正厩舎所属、戦歴は10戦4勝、主戦は角田晃一騎手。1995年札幌競馬最初の新馬戦に出走し、1.5倍の圧倒的人気に応え快勝。その後の札幌3歳S、阪神3歳牝馬Sを制し1995年の最優秀3歳牝馬に選ばれる。2番人気で出走した桜花賞では体調も整わず15着と敗れた後、日本ダービーに出走。制したのは同じCaerleonを父に持つフサイチコンコルドだった。繁殖馬としてはブエナビスタ、ジョワドヴィーヴル、アドマイヤジャパン、アドマイヤオーラなどを輩出するなど繁殖馬としても活躍した。

レッドリヴェール

レッドリヴェール
馬名レッドリヴェール
ステイゴールド
ディソサード
母父Dixieland Band
馬主東京ホースレーシング
生産者社台ファーム
生年月日2011年02月19日
産地千歳市
主な勝ち鞍2013'阪神ジュベナイルF
2013'札幌2歳S

栗東の須貝尚介厩舎所属、戦歴は18戦3勝。開催時期、距離は違うがビワハイジと同じく新馬戦→札幌2歳S→阪神ジュベナイルFと3連勝し2013年の最優秀2歳牝馬に選ばれる。桜花賞では阪神ジュベナイルFでハナ差破ったハープスターにクビ差差されて惜敗。その後はオークスに向かわず日本ダービーへ出走、その結果次第では凱旋門賞への挑戦、というプランが発表された。日本ダービーでは4番人気に推されるも12着に敗れ凱旋門賞挑戦へのプランも白紙となり秋以降も国内専念となった。

サトノレイナス

サトノレイナス
馬名サトノレイナス
ディープインパクト
バラダセール
母父Not For Sale
馬主サトミホースカンパニー
生産者社台ファーム
生年月日2018年2月26日
産地安平町
主な戦歴2020'阪神ジュベナイルF・2着
2021'桜花賞・2着

美浦の国枝栄厩舎所属、戦歴は5戦2勝、主戦はC.ルメール騎手。2歳新馬、サフラン賞(1勝クラス)とデビュー2連勝ののち、阪神JFと桜花賞はともに優勝馬のソダシとタイム差なしの2着だった。日本ダービー前に出走した過去4戦はすべて芝1600m戦。牝馬の日本ダービー参戦は2014年のレッドリヴェール以来7年ぶりで、グレード制導入(1984年)以降、GI未勝利での参戦は初であった。日本ダービーでは2番人気に推されたが5着に惜敗、秋は秋華賞での復帰を目標にするも休養中に右トモを骨折。復帰はかなわず日本ダービーの出走を最後に引退となった。