QUESTION
“心技体、ゴール、集中力の高め方…三冠ジョッキーがマー君に問う!
2021.2.1
──コロナ禍に見舞われたこの一年。野球界も競馬界も無観客開催を余儀なくされるなど大きな影響があり、競技者としても、いろいろと思うところがあったかと思います。メジャーリーグは試合数もかなり絞られて、ずっと無観客だったそうですね。
田中:そうです。最後のワールドシリーズあたりに少しお客さんを入れただけでした。シーズンを通して、無観客での試合はなかなか厳しいものがあるなと思いましたね。プレーする側にとって、やはりファンの方々の歓声というのは力なる。それはすごく実感しました。
福永:わかります。無観客と有観客の違いはわかっていたつもりでしたが、無観客のなかで三冠を達成してみて、こんなに違うものかと思いました。より違いを感じたのはやはりダービーで、やるべき仕事を全うできたという達成感はワグネリアン(2018年)のときと同じくらいありましたけど、大歓声に迎えられることで込み上げてくる達成感というのは当然ないわけで。お客さんがいないと、競技として成立しないのかなと思ったくらいです。
松山:祐一さんのおっしゃる通りです。それは僕も本当に思いました。
田中:野球もまったく同じですよ。ただ、野球の場合、歓声がないことで、相手ベンチの声だったり、選手たちの声などがクリアに聞こえてくるんです。聞こえなくていいことまで聞こえてきたりして(苦笑)。試合がやりづらかったです。
松山:ああ、そういう弊害もあるんですね(笑)。
田中:はい(笑)。でも、大変な状況にあっても、試合ができるように動いてくださった方々には本当に感謝したいです。再び完全にストップして、今シーズンは終わり…とはならなかったので。そこは感謝しかないですね。
福永:それは僕たちも同じです。あと、これは運営とファンのみなさんに感謝すべきことなんですが、売り上げはむしろ上がっていると聞いて、本当に恵まれているなと思いましたね。コロナ禍にあっても、非常に恵まれた環境のなかで仕事をすることができている。そのことに対する感謝の気持ちは、ジョッキー全員が持っています。
松山:競馬ができていること自体が、すごくありがたいことですよね。なので、僕たちはこれからも気を緩めずに、自分ができることをしっかりやっていきたいと思っています。
──いまだ収束の兆しが見えないとあって、今年もコロナ禍での戦いが続くかと思いますが、2021年の抱負、目標を聞かせてください。
田中:僕はまだどうなるかわからないので、なんとも言えないんですが…。でも、どこのチームで戦うことになっても野球をすることには変わらないので、この間にしっかりと準備をして、所属したチームで優勝を目指したいとは思ってます。そのために、少しでもスキルアップできるような準備をしたいですね。
福永:ありがたいことに、モチベーションが落ちることなく、本当に楽しんで仕事ができています。ケガが付き物の仕事なので、家族も含めて応援してくれる人たちのためにも、なにより自分が楽しめていることが大事だと思うから、楽しむためにやるべきことには真摯に取り組んでいきたい。それはずっと思っていることです。抱負ということでは、やっぱり馬に対する興味が尽きないので、そこを突き詰めていきたい。あとは、毎年のことですが、ケガなく、騎乗停止もなく。最近は毎朝、自分にそう言い聞かせてから競馬に向かってます。
松山:僕の目標は、やっぱり日本ダービーを勝つことです。今年だけではなく、それがずっと大きな目標ですね。
──2021年の競馬も、コントレイルとデアリングタクトを中心に回っていくと思います。それぞれのパートナーとともに目指す次なるステージは?
福永:クリストフ(ルメール騎手)がアーモンドアイを“ライフホース”と言っていましたが、僕にとってもコントレイルは“ライフホース”です。今年の前半は、大阪杯から宝塚記念と聞いているので、その2つはもちろん、それ以降も全部負けずにいきたい。本当は、引退まで無敗で…と思っていましたが、アーモンドアイに負けてしまった以上は、「結局、勝てなかったのはアーモンドアイだけだったね」という結末を目指したいです。
松山:僕もデアリングタクトと一緒に、もっとたくさん勝ちたいです。コントレイルにはジャパンCで負けてしまったので、次に戦うときは絶対に逆転したいです!
田中:競馬ファンとしては、2頭の対決が待ち遠しい限りです。
──ホントですよね。松山騎手は、2020年を経て、存在感そのものが変わってきそうな気もします。
福永:もう十分変わっていると思いますよ。普段のレースも自信を持って乗っているのがわかるし、いわゆる“勝てるポジション”をしっかり取ってますから。それはやっぱりデアリングタクトがもたらしてくれた自信だと思うし、弘平のこれからにとって、すごく大きなことだと思います。
──去年のリーディングでも、福永さんと3位争いを演じていましたものね。最終的には、福永騎手が134勝で3位、松山騎手が127勝で4位でしたが、秋後半は差す気満々だったのでは?
松山:もちろん追いつきたいとは思っていましたけど、僕が土日で4勝すると、祐一さんは5勝するんです。勝っても勝っても届かなかった…(苦笑)。僕、デビューした頃、目標とする騎手としてずっと「福永祐一騎手」って書いてたんです。当時から本当に憧れの存在なので、そんな先輩にリーディングで近くにいれるだけでも、僕にとってはそれだけでうれしいことで。
福永:そこはさ、俺じゃなくてクリストフに狙いを定めないと。クリストフに追いつくことを目指していたら、気づいたときには俺のことなんて楽々超えてるよ(笑)。
田中:コントレイルとデアリングタクトの対決も楽しみですけど、お二人の活躍もすごく楽しみです。2021年もワクワクするような競馬をたくさん見たいので、頑張ってくださいね!