日々トレセンや競馬場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は大阪本社の田井秀一(31)が担当する。中京競馬場で見届けたチャンピオンズCを振り返り、今季絶好調の田中博厩舎にレモンポップがもたらした財産を考察する。 ラストラン当日に引退式が組まれた馬が優勝したのは21年ジャパンCのコントレイル以来。鼻差の写真判定中から田中博師の瞳は潤んでいた。気力に陰りが見えていたレモンポップが、死力を振り絞って踏ん張った姿に感動。検量室前でライバルだった調教師らに「大丈夫。勝ってるよ」と声を掛けられ、涙がこぼれた。着順が確定すると担当の田端助手と抱き合い、歓喜に浸った…