名古屋北東部の文化果つるところに建つ私の自宅の箱庭には、小ぶりながらも、しだれ桜の木が植わっており、毎年この時季、ソメイヨシノにわずかに遅れて花が咲き始める。それにしても、桜の花がこうも我々の心をとらえて離さないのはなぜなのだろう。一つはその可憐さ、もう一つはパッと咲いてパッと散る、その一瞬の輝きゆえと何かで読んだことがある。 それはまるで3歳春のクラシックを目指し、1年弱の短い間に強い輝きを放つサラブレッドたちのようだ…って何やら不似合いかつ強引な前置きになってしまったが、いよいよ2022年クラシック開幕の桜花賞(10日=阪神芝外1600メートル)である。 あるベテラン調教師がこう言っていた。 「桜…