「生まれてきた時代が悪かった」とは競馬においてよく聞く言葉だ。ヤシマソブリンも、その言葉が当てはまる1頭であることは間違いない。同期の代表格は、あのナリタブライアン。それでもヤシマソブリンは、その最強馬に懸命に食らいついた1頭として、オールドファンの記憶の中に鮮明に残っているだろう。 そのヤシマソブリンが唯一、制した重賞が94年ラジオたんぱ賞(現ラジオNIKKEI賞)。「えっ、重賞1勝だけ?」と思うだろうが、実はそうなのだ。他にオープン特別を3勝しているが、オープン特別ではこうして後世に語り継ぐことも難しい。よくぞ、この重賞を勝っておいてくれた、というのが正直な感想だ。 さて、その一戦。オッズを見て「…