時代はヒーローを求めていた。昭和元年から80年目の05年。日本は「小泉劇場」の中にいた。当時の小泉純一郎首相が郵政民営化を目指し、8月に衆議院を解散。総選挙に踏み切ると、首相の圧倒的な熱量が日本全体をのみ込み、自民党は歴史的圧勝を演じた。 競馬界にもヒーローが誕生した。ディープインパクトだ。父に日本の競馬史を変えたサンデーサイレンスを持ち、デビュー戦から馬上には武豊。デビュー3連勝で迎えた皐月賞は発馬で大きくつまずきながらも、最後は手綱を緩められた状態で2馬身半差の圧勝だった。「この馬に出会えて本当によかった」とはレース後の武豊。最上級の賛辞からもスケール感が伝わった。 そして迎えた競…