競馬記者になって、もうすぐ20年になる。数え切れないほどの取材を行ってきても、今でも胸に突き刺さるような言葉に出合い、心が高鳴る瞬間がある。つい先日もあった。矢作調教師とケンタッキーダービーについて話をさせてもらった時だ。 無傷の5連勝を続けていたフォーエバーヤングと臨んだ大一番。ゴール前で息が詰まるような大接戦の末、勝ち馬から鼻、鼻差の3着に敗れた。「フォーエバーヤングにとって、ケンタッキーダービーは一度しかない。勝たせてやれなかったのは悔しい」 逆境の中での戦いだった。ドバイから米国まで空輸後に42時間の着地検疫があり、その後は馬運車で10時間も輸送。本来の姿を目指し、現地で必死に調…