ついに頂点に立ったキングヘイローとともに柴田善臣騎手が検量室前に戻ってくると、坂口正大師の目には、みるみる涙があふれた。 「うれしいことで涙を流せる。幸せなことです。これが男泣き、というものですかね」。泣きながら、笑っている。大学教授のような風貌で、いつも冷静さを失わない坂口大師。その表情が、見たこともないほどクシャクシャになっている。周囲を囲んだ報道陣はグッときた。 鮮やかな勝ちっぷりだった。2番手追走からいち早く抜け出すアグネスワールド。その内からディヴァインライトも迫った。外から来たのがキングヘイロー。最後の一完歩でしっかりと捉え切った。 G1挑戦11度目での歓喜。父は凱旋門賞馬で欧…