96年4月22日の天皇賞・春。戦前、レースの主役は衆目一致で2頭だった。ナリタブライアン単勝1・7倍、マヤノトップガン単勝2・8倍。16頭立て3番人気のサクラローレルが14・5倍だから、「2強」の傑出が分かる。支持率にするとナリタブライアンが47・7%、マヤノトップガンは27・6%。2頭で75%以上。2頭の馬連は2・0倍でシェア36%。 ブライアンとトップガンは、このレースの前哨戦である阪神大賞典で激突。競馬史に残る叩き合いの末、ブライアンが頭差制していた。競馬ファンは前年秋に不振を極めたブライアンの復活を歓迎し、また逆転に爪を研ぐトップガンの闘志に酔っていた。 レースのハイライトは2周目4コーナーから。先行態勢を取っ…