「強いですね」は変なのか

  •  例えば、2着に敗れた馬の調教師が、「勝った馬は強いですね」と言ったとする。また、例えば、勝った騎手が「嬉しいです」と笑顔を見せた横で、負けた騎手が「悔しいです」と唇を噛んでいたとする。  どのコメントも、私などは違和感なく受け止めてしまう。  ところが、かつては「強い」だとか「嬉しい」「悔しい」といった形容詞に「です」を付けるのは誤用とされていた。それが、1952(昭和27)年に国語審議会がまとめた「これからの敬語」で、「大きいです」「小さいです」などの言い方は、平明・簡素な形として認めていい、とされたのである。  1952年というと、私が生まれる12年前だ。サンフランシスコ平和条約と日米安全保障条約が発

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