■前回まで 開拓期から人と馬が共生してきた北海道の新冠。高江地区の武田牧場に、1970年の春、「豪サラ」を2代母に持つ体の大きな仔馬が生まれ、「新冠の一番馬」と言われた。 「こんなに立派な体をした当歳馬は初めて見たよ」 武田牧場に来た調教師が、チャイナロックとハイユウとの間に生まれた仔馬──ハイセイコーを見て目を細めた。ほかの多くの調教師も口々に馬体の大きさと骨格の丈夫さを褒めた。 しかし、みながみなそうだったわけではない。 「少し皮膚が厚いのが気になるね」 「毛足が長いな。だから、ほかの当歳馬より汗をかいている」 などと言い、首を傾げる者もいた。 確かに、皮膚が薄いほど走ると言われているが…