今年1月3日の正午過ぎのことだった。 「私の正月は、昨日と今日のこの時間だけなんです」 自宅マンションのエレベーターで1階へと降りながら、乗り合わせた住人が苦笑した。 その人も、もうひとり乗ってきた住人も、私も家人も目指すところは同じ。ここから徒歩3分ほどの国道15号線の沿道で、箱根駅伝の復路10区を観戦するのだ。 観戦ポイントに着いてすぐ、トップの青山学院大学の選手がかろやかに眼前を駆け抜けて行った。私の母校の早稲田大学は3位争いをしている。この10区は最終区なので、ランナーはみなアンカーだ。 早稲田のアンカーは3年連続で菅野(かんの)雄太選手。つまり、私は3年連続、同じ場所から彼の名を叫ぶこと…