遅ればせながら、2021年度JRA賞馬事文化賞受賞作『馬のこころ 脳科学者が解説するコミュニケーションガイド』(ジャネット・L・ジョーンズ著、尼丁千津子訳、持田裕之監修、パンローリング株式会社発行)を読了した。 いやあ、面白かった。本書は、「脳の仕組みに基づいたホースマンシップ」について記されたものだ。馬が周囲や物事を認知、認識するメカニズムを知ることによって、馬が取る行動の意味を理解しよう――と、著者が私たちを導いてくれる。例えば、なぜ若い馬は洗い場などに脚を踏み入れることを躊躇するのか、なぜ円を描くように曳くと落ちつくのか……といったことが、読んでいるうちにわかってくるのだ。 なるほど、と唸ら…