育成牧場で過ごすおだやかな余生 1993年の日本ダービー馬のウイニングチケットの取材をした際に、その年の3冠を分けた3強が揃って健在で、余生を過ごしているのは珍しいのではないかという話をした。その3強のうちの1頭が皐月賞馬のナリタタイシンだ。ナリタタイシンは現在、北海道日高町富浜にあるベーシカル・コーチング・スクールという育成牧場で余生を過ごしている。訪問した6月10日は、奇しくもナリタタイシンの誕生日で、満29歳を迎えた記念日でもあった。 牧場で競馬を引退した馬を目にした時に、これが競馬場で激しい闘いを繰り広げてきた馬なのだろうかと信じられない気持にとらわれることがある。みな、サラブレッド特有の敏感…