
レースガイド
女王降臨 牝馬重賞戦線の総決算
3歳以上牝馬競走充実のため、2024年に創設された重賞競走。従来の古馬牝馬重賞は8月のブリーダーズゴールドCが最後だったが、牝馬路線の総決算として本競走が位置づけられることとなった。マイルのヒダカソウカップ、1,800mのノースクイーンカップ、2,000mのブリーダーズゴールドCに続き、今回は1,700mが舞台。距離の違いによる勢力図の変化にも注意が必要だ。
★『カウントアップL(レディス)』対象競走
★1着馬の生産牧場に「ウエストオーバー」の2026年種付権利を付与【スタリオンシリーズ】
前年ハイライト
好スタートを決めたウワサノシブコが果敢に先手を主張し、単独先頭で1コーナーへ。ポルラノーチェが2番手、スギノプリンセスが3番手の隊列で向正面に入っています。その後、中団を進んでいたサンオークレアが3コーナー手前で先行勢を捕らえにかかり、4コーナーではポルラノーチェ・サンオークレア・スギノプリンセスの3頭が先頭を争う展開に。ゴール前の直線に入ったところで一旦はポルラノーチェが抜け出したものの、これをしぶとく追ったサンオークレアが決勝線の手前で捕らえ、最後は逆に1馬身半の差をつけて入線し、自身2度目の重賞制覇を果たしました。
データ分析
2024年に第1回が施行されたばかりのレースですので、本稿の集計対象は2024年10月以降にホッカイドウ競馬で施行された3歳以上牝馬限定の重賞競走(2024年のグランシャリオクイーンズ、2025年のヒダカソウカップ・ノースクイーンカップ・ブリーダーズゴールドC)としています。ちなみに、2024年のグランシャリオクイーンズは、前走でブリーダーズゴールドCに出走していた2頭がそのまま1着から2着を占めました。出走各馬の臨戦過程にも注目しておいた方が良いかもしれません。
上位人気の馬ほど堅実
集計対象4レースの単勝人気順別成績を見ると、1番人気の馬は[3-0-1-0](3着内率100.0%)、2番人気から3番人気の馬は[0-3-3-2](3着内率75.0%)、4番人気から5番人気の馬は[1-1-0-6](3着内率25.0%)、6番人気以下の馬は[0-0-0-12](3着内率0.0%)となっています。堅く収まりがちなカテゴリと見るべきでしょう。
1着 | 2着 | 3着 | 4着 以下 | 総数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1番人気 | 3 | 0 | 1 | 0 | 4 | 75.0% | 75.0% | 100.0% |
2番人気 | 0 | 3 | 0 | 1 | 4 | 0.0% | 75.0% | 75.0% |
3番人気 | 0 | 0 | 3 | 1 | 4 | 0.0% | 0.0% | 75.0% |
4番人気 | 1 | 0 | 0 | 3 | 4 | 25.0% | 25.0% | 25.0% |
5番人気 | 0 | 1 | 0 | 3 | 4 | 0.0% | 25.0% | 25.0% |
6番人気 | 0 | 0 | 0 | 4 | 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
7番人気 | 0 | 0 | 0 | 4 | 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
8番人気 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
9番人気 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
田中淳司調教師に注目
集計対象4レースの調教師別成績を見ると、3着以内となった回数が3回以上の現役トレーナーは、田中淳司調教師のみとなっています。2025年のヒダカソウカップは田中淳司調教師の管理馬によるワンツーフィニッシュ決着でしたし、引き続きマークしておきたいところです。
1着 | 2着 | 3着 | 4着 以下 | 総数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
五十嵐冬樹 | 2 | 0 | 0 | 2 | 4 | 50.0% | 50.0% | 50.0% |
田中淳司 | 1 | 2 | 1 | 2 | 6 | 16.7% | 50.0% | 66.7% |
中村直也 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
荒井朋弘 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% |
大久保龍志 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% |
池江泰寿 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% |
田中正二 | 0 | 0 | 1 | 1 | 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% |
齊藤正弘 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% |
その他の調教師 | 0 | 0 | 0 | 15 | 15 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
4歳から6歳の馬が中心
集計対象4レースの馬齢別成績を見ると、3歳の馬は[0-1-0-4](3着内率20.0%)、4歳から6歳の馬は[4-3-4-12](3着内率47.8%)、7歳以上の馬は[0-0-0-4](3着内率0.0%)となっています。高齢馬や3歳勢はあまり強調できません。
1着 | 2着 | 3着 | 4着 以下 | 総数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
3歳 | 0 | 1 | 0 | 4 | 5 | 0.0% | 20.0% | 20.0% |
4歳 | 1 | 1 | 3 | 4 | 9 | 11.1% | 22.2% | 55.6% |
5歳 | 2 | 1 | 1 | 4 | 8 | 25.0% | 37.5% | 50.0% |
6歳 | 1 | 1 | 0 | 4 | 6 | 16.7% | 33.3% | 33.3% |
7歳 | 0 | 0 | 0 | 3 | 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
10歳 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
馬格も見逃せないポイント
集計対象4レースの前走馬体重区分別成績を見ると、470kg未満の馬は[1-0-0-12](3着内率7.7%)、470kg以上の馬は[3-4-4-8](3着内率57.9%)となっています。小柄な馬は過信禁物と見るべきでしょう。
1着 | 2着 | 3着 | 4着 以下 | 総数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
410kg台 | 0 | 0 | 0 | 3 | 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
430kg台 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
440kg台 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
450kg台 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
460kg台 | 1 | 0 | 0 | 4 | 5 | 20.0% | 20.0% | 20.0% |
470kg台 | 1 | 2 | 0 | 4 | 7 | 14.3% | 42.9% | 42.9% |
480kg台 | 1 | 1 | 0 | 1 | 3 | 33.3% | 66.7% | 66.7% |
490kg台 | 0 | 1 | 1 | 2 | 4 | 0.0% | 25.0% | 50.0% |
500kg台 | 1 | 0 | 3 | 0 | 4 | 25.0% | 25.0% | 100.0% |
510kg台 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
(伊吹 雅也)
有力馬情報
- ☆ヴィヴィアンエイト(牝4・齊藤正弘厩舎)
- 今年はエトワール賞(4月24日)で勝ち馬から0秒8差6着のあと、ヒダカソウカップ(5月22日)では中団から鋭く脚を伸ばし、ポルラノーチェから1馬身+アタマ差の3着。その後、疲労が出たとのことで夏場を休養に充てられたが、3カ月半ぶりの実戦となった前走・日高生産連特別(9月9日)ではゴール前で鋭く脚を伸ばして今シーズン初勝利を飾り、準オープン格では格の違いを見せつけた。1,700mは昨年5月のフロイラインカップ(2着)以来となるが、2戦して1、2着なら不安はないはず。4つ目のタイトル獲得へ、視界は良好だ。
- ☆ヴィルミーキスミー(牝3・柳澤好美厩舎)
- 前走の秋桜賞(9月4日、名古屋競馬場)では、年長馬との対戦は2度目という条件ながら、先行策から粘りを見せ、勝ち馬からおよそ5馬身差の4着と善戦した。キャリア16戦のうち、2-3歳時に5戦連続での遠征を敢行するなど、各地の重賞戦線を転戦することで、着実に地力をつけつつある印象だ。ノースクイーンカップ(7月17日)でも上位3頭にこそ離されていたものの、唯一の3歳馬ながら4着と掲示板を確保している。徐々に中距離のペースにも慣れてきた感があるうえ、伸びしろ十分の3歳馬だけに、着差を詰めてくる可能性も十分にある。
- ☆サンオークレア(牝6・五十嵐冬樹厩舎)
- 再転入初戦のエンプレス杯(5月14日、川崎競馬場)を制し、兵庫所属時の実績を含め『グランダム・ジャパン』古馬春シーズン総合優勝の座に輝いた。続くノースクイーンカップ(7月17日)では、先行するラブラブパイロを4馬身突き放し、重賞3勝目を飾っている。地元最右翼として臨んだブリーダーズゴールドカップ(8月28日)は6着だったものの、先行2頭が作った流れに苦しんだ印象もあり、決して力負けではないはずだ。地元馬同士のメンバーで巻き返しを図り、当レース連覇を狙う。
- ☆ゼロアワー(牝3・佐々木国明厩舎)
- 南関東の3歳牝馬クラシック路線を経験し、再転入初戦となったフロイラインカップ(6月26日)では2着馬に2秒1もの大差をつけ、世代牝馬ナンバーワンを改めて証明した。続く王冠賞(7月24日)も果敢な先行策をとり、牡馬を相手に0秒8差の4着、続くブリーダーズゴールドカップでも、地元馬最先着の5着と気を吐いている。強豪を相手に善戦を続け、牝馬重賞3連勝を飾った2歳時の勢いを取り戻しつつある様子。2戦2勝の1,700m戦で年長馬を撃破し、新女王誕生への気運を高める。
- ☆ポルラノーチェ(牝4・田中淳司厩舎)
- 秋桜賞を出走取消となり、今回が仕切り直しの1戦。ヒダカソウカップでは先行馬を3-4コーナーで捕らえると直線での追い比べを制し、昨年のフロイラインカップ以来となるタイトル獲得を果たした。つづくノースクイーンカップでは上位2頭からおよそ12馬身差の3着、サートゥルナーリア・プレミアム(8月13日)も、ニシケンボブから0秒9差の5着とあとひと息の競馬が続いたが、今回は5戦して[4-1-0-0]と抜群の安定感を誇る1,700m戦。得意の条件に戻った今回は、逆転の可能性も十分に考えられそうだ。
- ※五十音順
※出走馬は10月2日現在の情報をもとにしております。