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HOKKAIDO KEIBA 2024

レースガイド

夏に花開く乙女たち 2歳牝馬重賞ロードの幕開け

2004年、番組編成改革の一環として2歳戦の重賞を改善すべく、旭川競馬場・ダート1,000mの条件で第1回が行われる。2014年の第11回-22年の第19回にかけては、エーデルワイス賞〔JpnIII〕と同舞台の門別競馬場・ダート1,200mで実施されていたが、23年からはフルールカップ(14年創設)と施行時期・距離を入れ替える形で、09年第6回-13年第10回の施行条件であった門別競馬場・ダート1,000mに戻された。栄冠賞に続く2歳重賞戦線の第2弾は、世代最初の牝馬限定戦。入厩する2歳馬のおよそ6割近くが牝馬という環境で、ハイレベルな戦いを演じてきた乙女たちにとっての最初の関門だ。エーデルワイス賞を頂点とする、2歳牝馬の激戦に注目したい。



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前年ハイライト

スタート直後からリオンダリーナ・ボディコンシャスが先行争いを繰り広げ、結局リオンダリーナが1番手、ボディコンシャスが2番手で3コーナーへ。中団を追走していたジャイヴトークが4コーナーでポジションを押し上げたものの、リオンダリーナが単独先頭のままゴール前の直線に入りました。その後もリオンダリーナの脚色は衰えず、じわじわと迫ったジャイヴトークに1馬身半の差をつけて入線。デビュー戦からの連勝を3に伸ばし、自身初の重賞制覇を果たしています。

データ分析

本稿の集計対象は2020年以降の過去5年としましたが、2022年までは施行時期が8月下旬から9月下旬、施行距離が1200mだった点にご注意ください。ちなみに、2023年以降の過去2年に限った前走単勝人気順別成績を見ると、2番人気以内の馬は[2-1-1-1](3着内率80.0%)、3番人気以下の馬は[0-1-1-10](3着内率16.7%)です。前走成績を比較する際は、当時の人気もチェックしておいた方が良いかもしれません。

上位人気馬はまずまず堅実

過去5年の単勝人気順別成績を見ると、4番人気以内の馬は[4-3-3-10](3着内率50.0%)、5番人気から11番人気の馬は[1-2-2-25](3着内率16.7%)、12番人気以下の馬は[0-0-0-6](3着内率0.0%)となっています。なお、2023年以降の過去2年に限ると、4番人気以内の馬は[2-1-2-3](3着内率62.5%)、5番人気以下の馬は[0-1-0-8](3着内率11.1%)でした。まずは人気の中心となっている馬に注目するべきでしょう。

表1単勝人気順別成績(過去5年)
1着 2着 3着 4着 以下 総数 勝率 連対率 3着内率
1番人気 3 0 0 2 5 60.0% 60.0% 60.0%
2番人気 1 1 0 3 5 20.0% 40.0% 40.0%
3番人気 0 1 0 4 5 0.0% 20.0% 20.0%
4番人気 0 1 3 1 5 0.0% 20.0% 80.0%
5番人気 0 0 1 4 5 0.0% 0.0% 20.0%
6番人気 1 1 0 3 5 20.0% 40.0% 40.0%
7番人気 0 0 0 5 5 0.0% 0.0% 0.0%
8番人気 0 0 0 4 4 0.0% 0.0% 0.0%
9番人気 0 1 0 3 4 0.0% 25.0% 25.0%
10番人気 0 0 0 4 4 0.0% 0.0% 0.0%
11番人気 0 0 1 2 3 0.0% 0.0% 33.3%
12番人気 0 0 0 3 3 0.0% 0.0% 0.0%
13番人気 0 0 0 2 2 0.0% 0.0% 0.0%
14番人気 0 0 0 1 1 0.0% 0.0% 0.0%
リニューアル後は田中淳司調教師が好成績

過去5年の調教師別成績を見ると、3着以内となった回数が2回以上の現役トレーナーは、角川秀樹調教師・佐々木国明調教師・田中淳司調教師の3名となっています。なお、このうち田中淳司調教師は、2023年以降の過去2年に限ると[1-1-1-0](3着内率100.0%)です。今後も管理馬を出走させてきたら目が離せません。

表2調教師別成績(過去5年)
1着 2着 3着 4着 以下 総数 勝率 連対率 3着内率
角川秀樹 2 1 0 7 10 20.0% 30.0% 30.0%
田中淳司 1 1 1 8 11 9.1% 18.2% 27.3%
小国博行 1 0 0 0 1 100.0% 100.0% 100.0%
石本孝博 1 0 0 0 1 100.0% 100.0% 100.0%
佐々木国明 0 2 0 2 4 0.0% 50.0% 50.0%
村上正和 0 1 0 0 1 0.0% 100.0% 100.0%
小野望 0 0 1 6 7 0.0% 0.0% 14.3%
田中正二 0 0 1 2 3 0.0% 0.0% 33.3%
齊藤正弘 0 0 1 0 1 0.0% 0.0% 100.0%
その他の調教師 0 0 1 16 17 0.0% 0.0% 5.9%
前走好走馬が強い

過去5年の前走着順別成績を見ると、1着の馬は[4-2-3-11](3着内率45.0%)、2着から7着の馬は[1-3-2-22](3着内率21.4%)、8着以下の馬は[0-0-0-8](3着内率0.0%)となっています。なお、2023年以降の過去2年に限ると、1着の馬は[2-1-1-2](3着内率66.7%)、2着から7着の馬は[0-1-1-5](3着内率28.6%)、8着以下の馬は[0-0-0-4](3着内率0.0%)でした。前走の着順が良い馬ほど信頼できるレースと言えるでしょう。

表3前走着順別成績(過去5年)
1着 2着 3着 4着 以下 総数 勝率 連対率 3着内率
1着 4 2 3 11 20 20.0% 30.0% 45.0%
2着 1 1 0 5 7 14.3% 28.6% 28.6%
3着 0 0 0 3 3 0.0% 0.0% 0.0%
4着 0 1 1 6 8 0.0% 12.5% 25.0%
5着 0 0 1 4 5 0.0% 0.0% 20.0%
6着 0 0 0 3 3 0.0% 0.0% 0.0%
7着 0 1 0 1 2 0.0% 50.0% 50.0%
8着 0 0 0 4 4 0.0% 0.0% 0.0%
9着 0 0 0 2 2 0.0% 0.0% 0.0%
11着 0 0 0 2 2 0.0% 0.0% 0.0%
脚質も見逃せないポイント

過去5年の前走最終コーナー通過順別成績を見ると、1番手の馬は[4-1-4-11](3着内率45.0%)、2番手から7番手の馬は[1-4-1-21](3着内率22.2%)、8番手以下の馬は[0-0-0-9](3着内率0.0%)となっています。なお、2023年以降の過去2年に限ると、3番手以内の馬は[2-1-2-2](3着内率71.4%)、4番手から7番手の馬は[0-1-0-6](3着内率14.3%)、8番手以下の馬は[0-0-0-3](3着内率0.0%)です。前走で先行していなかった馬はあまり強調できません。

表4前走最終コーナー通過順別成績(過去5年)
1着 2着 3着 4着 以下 総数 勝率 連対率 3着内率
1番手 4 1 4 11 20 20.0% 25.0% 45.0%
2番手 0 1 0 3 4 0.0% 25.0% 25.0%
3番手 0 1 0 3 4 0.0% 25.0% 25.0%
4番手 0 1 0 3 4 0.0% 25.0% 25.0%
5番手 0 0 1 7 8 0.0% 0.0% 12.5%
6番手 1 0 0 1 2 50.0% 50.0% 50.0%
7番手 0 1 0 4 5 0.0% 20.0% 20.0%
8番手 0 0 0 3 3 0.0% 0.0% 0.0%
9番手 0 0 0 3 3 0.0% 0.0% 0.0%
11番手 0 0 0 3 3 0.0% 0.0% 0.0%

(伊吹 雅也)

有力馬情報

ゴールデンリング(牝2・角川秀樹厩舎)



 出走取消明けで臨んだ1,000mのフレッシュチャレンジ(4月30日)は、逃げ馬をマークする形から4コーナーで先頭に立つと、2着馬に3馬身差をつけた。前走のJRA認定ウィナーズチャレンジ2(6月25日)はスペシャルチャンス・ブルーメンガルテンという牡馬の快速馬に屈して3着に敗れたものの、良馬場でも1分01秒9(1,000m)の時計で走れたのは収穫だった。母・チェゴも同じ角川秀樹厩舎でデビューし、笠松移籍後に重賞2勝した活躍馬。当レース全21回中11勝と抜群の成績を誇る伯楽から、新たなタイトルホルダーの誕生となるか。


スプリンガフォート(牝2・田中淳司厩舎)



 1,000mの牝馬限定フレッシュチャレンジ(5月1日)こそ2着だったものの、次開催のアタックチャレンジ(5月15日)を逃げ切り。このレースは後に3頭が勝ち上がっており、レースレベルは水準以上と言える。前走のJRA認定ウィナーズチャレンジ2は5着だったものの、ゴール前牝馬3頭の競り合いではクビ+クビ差と接戦を演じており、オープンでもめどの立つ走りは見せていた。父は昨シーズン限りで種牡馬を引退したフリオーソ。地方競馬の雄が晩年に送り出したスター候補が、重賞タイトル獲得となるか。


スルーザミル(牝2・川島洋人厩舎)



 3月20日の能力検査では、この日の牝馬一番時計となる800m50秒4をマーク。約3カ月成長を促した後に臨んだ1,000mの牝馬限定フレッシュチャレンジ(6月25日)でも、好ダッシュから2着馬に3馬身差をつけ、勝ち時計1分01秒8の好時計をマークした。父Frankel、母ウオッカという世界的な良血の持ち主で、現役時にJRAの重賞戦線でも活躍したタニノフランケルの初年度産駒。父があと一歩のところで手が届かなかった重賞のタイトルを届け、今年の新種牡馬産駒による重賞勝ち第一号の座を狙う。


トリップス(牝2・小野望厩舎)



 1,000mの牝馬限定フレッシュチャレンジ(5月1日)は、内枠からダッシュを利かせると2着に2馬身差をつける快勝。続くJRA認定ウィナーズチャレンジ2は4着だったものの、すぐ外の牡馬・スペシャルチャンスに被される厳しい展開を先行したことは、今後への糧になるだろう。父のゴルトマイスターは南関東重賞を4勝したモジアナフレイバーを兄に持ち、現役時にJRAを4勝。初年度登録は8頭と決して多くはないものの、すでに本馬含めて2頭が門別でJRA認定を獲得しており、産駒のレベルの高さがうかがえる。


リュウノフライト(牝2・山口竜一厩舎)



 4月22日の能力検査では、800m49秒3の好時計をマーク。1カ月後の5月21日に行われた牝馬限定フレッシュチャレンジ(5月21日)を、好ダッシュから後続の追撃を寄せ付けずに逃げ切っている。勝ち時計の1分07秒9は、今年良馬場で行われた1,100m戦では最速タイにあたる。7歳上の半兄・リンノレジェンドは2019年に道営記念を逃げ切るなど、ホッカイドウ競馬所属として重賞6勝を挙げており、門別競馬場に縁のある血統の持ち主。初めての1,000mを克服し、重賞タイトル獲得を狙う。


※五十音順

※出走馬は7月17日現在の情報をもとにしております。