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2022.4.21(木)

コスモバルク記念

H21800m

レースガイド

待ち侘びた春の到来 「開拓者」の伝説を追って

競走名のコスモバルクは、故・岡田繁幸氏が設立したビッグレッドファーム(新冠町)を「認定厩舎」とし、2003年に旭川競馬場でデビュー。以後、ホッカイドウ競馬所属としてJRAの重賞競走を3勝したほか、06年には地方競馬所属馬として初めて海外G1競走を勝利する(06年シンガポール航空国際カップ)など、地方・中央・海外の垣根を越える「パイオニア」として、8歳(09年)まで現役生活を続けた。10年5月4日に行われた引退式当日には、門別競馬場に2,867人が来場し、入場人員レコードを更新。翌11年に、同馬の功績を称える意を込めて新設された。

創設から一貫して門別競馬場・ダート1,800mの条件で行われてきた本競走は、年度最初の重賞ということもあり、ホッカイドウ競馬の1年の幕開けを飾るレースとして親しまれている。冬場にじっくりと英気を養った前年の実績馬、オフシーズンも他地区の強豪を相手に揉まれ、再び北の大地に戻った再転入馬、新天地での飛躍を誓う転入馬が一堂に会する1戦は、今シーズンの古馬重賞戦線を占う意味合いを含む。20年からは格付けが「H3」から「H2」に格上げとなり、俄然注目度が高まった。



★『カウントアップM(ミドル・マイル)』対象競走

★1~3着馬に「第59回赤レンガ記念」(6月23日、門別競馬場)の優先出走権を付与

★1着馬の生産牧場に「ゴールドシップ」の2023年種付権利を付与【スタリオンシリーズ競走】

前年ハイライト

スタート直後からソイカウボーイがハナを切り、向正面ではステージインパクト・ソイカウボーイ・テーオーフォース・リンノレジェンドの4頭が5番手以下の集団を大きく引き離す展開となりました。

しかし、5番手を追走していたクインズサターンが3~4コーナーで先団との差を詰め、ゴール前の直線半ばで先頭に。そのままゴールまで押し切り、2020年道営記念に続く自身2度目の重賞制覇を果たしています。

データ分析

過去5年の調教師別成績を見ると、3着以内となった回数が3回以上なのは、角川秀樹調教師・田中淳司調教師・米川昇調教師の3名でした。なお、田中淳司調教師の管理馬はここ4年連続で3着以内に食い込んでいます。当レースと相性の良い厩舎と言って良いかもしれません。

4番人気以内の馬が優勢

過去5年の単勝人気順別成績を見ると、4番人気以内の馬は[5-4-4-7](3着内率65.0%)、5~6番人気の馬は[0-1-1-8](3着内率20.0%)、7番人気以下の馬は[0-0-0-15](3着内率0.0%)となっています。2020年は単勝3番人気以内の3頭がすべて4着以下に敗れてしまったものの、まずは上位人気グループの馬に注目したいところです。

表1単勝人気順別成績(過去5年)
単勝人気順 1着 2着 3着 4着以下 総数 勝率 連対率 3着内率
1番人気 2 0 1 2 5 40.0% 40.0% 60.0%
2番人気 1 1 1 2 5 20.0% 40.0% 60.0%
3番人気 1 0 1 3 5 20.0% 20.0% 40.0%
4番人気 1 3 1 0 5 20.0% 80.0% 100.0%
5番人気 0 1 0 4 5 0.0% 20.0% 20.0%
6番人気 0 0 1 4 5 0.0% 0.0% 20.0%
7番人気 0 0 0 5 5 0.0% 0.0% 0.0%
8番人気 0 0 0 4 4 0.0% 0.0% 0.0%
9番人気 0 0 0 4 4 0.0% 0.0% 0.0%
10番人気 0 0 0 2 2 0.0% 0.0% 0.0%
相性の良いジョッキーに注目

過去5年の騎手別成績を見ると、3着以内となった回数が3回以上なのは、阿部龍騎手・服部茂史騎手・石川倭騎手の3名となっています。

なお、このうち阿部龍騎手はスーパーステション(2018年1着・2019年1着)・モズノーブルギフト(2019年3着)、服部茂史騎手はドラゴンエアル(2018年2着・2019年3着・2020年1着)・テーオーフォース(2021年2着)と、それぞれ複数の馬で3着以内となった例がありました。今年もエントリーしてきたら目が離せません。

表2騎手別成績(過去5年)
騎手別成績 1着 2着 3着 4着以下 総数 勝率 連対率 3着内率
阿部龍 2 0 1 0 3 66.7% 66.7% 100.0%
石川倭 1 2 1 0 4 25.0% 75.0% 100.0%
服部茂史 1 2 1 1 5 20.0% 40.0% 60.0%
その他の騎手 1 2 2 28 33 3.0% 9.1% 15.2%
近年は若い世代の馬が不振

過去5年の馬齢別成績を見ると、6歳以下の馬は[3-2-3-16](3着内率33.3%)、7歳以上の馬は[2-3-2-14](3着内率33.3%)となっています。ただし、2020年以降の過去2年に限ると、6歳以下の馬は[0-1-1-9](3着内率18.2%)、7歳以上の馬は[2-1-1-3](3着内率57.1%)です。近年の傾向を重視するなら、6歳以下の馬は過信禁物と見るべきでしょう。

表3馬齢別成績(過去5年)
馬齢別成績 1着 2着 3着 4着以下 総数 勝率 連対率 3着内率
4歳 1 1 0 2 4 25.0% 50.0% 50.0%
5歳 2 0 2 5 9 22.2% 22.2% 44.4%
6歳 0 1 1 9 11 0.0% 9.1% 18.2%
7歳 0 2 1 6 9 0.0% 22.2% 33.3%
8歳 1 1 1 3 6 16.7% 33.3% 50.0%
9歳 1 0 0 4 5 20.0% 20.0% 20.0%
11歳 0 0 0 1 1 0.0% 0.0% 0.0%
前走の最終コーナー通過順がポイント

過去5年の前走最終コーナー通過順別成績を見ると、3番手以内の馬は[1-1-1-10](3着内率23.1%)、4~9番手の馬は[4-3-4-11](3着内率50.0%)、10番手以下の馬は[0-1-0-8](3着内率11.1%)、中止の馬は[0-0-0-1](3着内率0.0%)となっています。

ちなみに、2020年以降の過去2年に限っても、3着以内馬6頭のうち5頭は前走最終コーナー通過順が4~9番手でした。各馬の脚質にも注目しておきたいところです。

表4前走最終コーナー通過順別成績(過去5年)
最終コーナー通過順 1着 2着 3着 4着以下 総数 勝率 連対率 3着内率
1番手 1 0 1 6 8 12.5% 12.5% 25.0%
2番手 0 0 0 1 1 0.0% 0.0% 0.0%
3番手 0 1 0 3 4 0.0% 25.0% 25.0%
4番手 1 0 2 1 4 25.0% 25.0% 75.0%
5番手 1 0 0 3 4 25.0% 25.0% 25.0%
6番手 0 2 0 1 3 0.0% 66.7% 66.7%
7番手 0 1 1 0 2 0.0% 50.0% 100.0%
8番手 0 0 0 2 2 0.0% 0.0% 0.0%
9番手 2 0 1 4 7 28.6% 28.6% 42.9%
10番手 0 0 0 2 2 0.0% 0.0% 0.0%
11番手 0 0 0 4 4 0.0% 0.0% 0.0%
12番手 0 0 0 1 1 0.0% 0.0% 0.0%
15番手 0 0 0 1 1 0.0% 0.0% 0.0%
16番手 0 1 0 0 1 0.0% 100.0% 100.0%
中止 0 0 0 1 1 0.0% 0.0% 0.0%

(伊吹 雅也)

有力情報馬



☆クラキングス(牡8歳・村上正和厩舎)


 門別競馬場デビューから南関東を経て、5歳時に再転入。昨年の星雲賞ではゴール前で猛追し逃げたクインズプルートをクビ差差し切り、キャリア64戦目にして重賞初制覇を成し遂げた。本競走には過去2年続けて出走し、4着・3着と2度とも勝ち馬とは僅差の走り。経験豊富なベテランが、持ち前の末脚を武器に上位進出をもくろむ。


☆チャイヤプーン(牡7歳・村上正和厩舎)


 戸塚記念(川崎競馬場)・ダービーグランプリ(水沢競馬場)といった全国区レベルの地方重賞タイトルを手土産に、昨年の秋からデビューの地・門別競馬場へと舞い戻った。地元のオープン特別を連勝後に臨んだ東海菊花賞(名古屋競馬場)は、いったん先頭に立ちながら惜しくも2着。9つ目のタイトルという勲章を手に、北の古馬戦線へ名乗りを挙げるか。


☆テーオーフォース(牡7歳・田中淳司厩舎)


 JRAで4勝の実績を残し、昨シーズンからホッカイドウ競馬へ移籍。昨年の本競走では、先に抜けだしたクインズサターンを最後まで追いかけて2着に入った。当地では7戦して白星こそないものの、全てのレースで掲示板内に入り堅実ぶりをアピール。今シーズンこそは“善戦マン”を卒業し、待望の重賞タイトルを狙う。


☆リンノレジェンド(牡6歳・角川秀樹厩舎)


 19年にグランプリ・道営記念を制覇。昨年は赤レンガ記念・瑞穂賞と2つの重賞タイトルを勝ち星に加えた。3シーズン連続で重賞勝ちを挙げ、息の長い活躍を続ける本馬は、自分のペースで運んだ際に一級品の粘り腰を発揮。得意の逃げ戦法に持ち込み、不本意な結果に終わった過去2年(8着・5着)のリベンジを果たしたい。


☆ワークアンドラブ(牡7歳・田中淳司厩舎)


 3歳時にJRAからホッカイドウ競馬に移籍し、旭岳賞3着・瑞穂賞2着など、年長馬の一線級相手にも互角に駆けてきた。その後は大井競馬所属として、19年のマイルグランプリ・翌20年サンタアニタトロフィーと重賞を2勝。強豪を相手にもまれた経験を糧に今季、4シーズンぶりに門別の地での戦いに挑む。



(五十音順、文・山下広貴)

※出走馬は4月14日現在の情報をもとにしております。

ご注意:当ページの情報は、特定の馬の応援や勝馬の示唆をするものではありません。

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